抄録
高温, 拘束圧下において, き裂を含まない岩石 (花崗閃緑岩), き裂を含む岩石および充填物のあるき裂を含む岩石のそれぞれについて, 熱膨張試験を実施することにより, 岩石の熱膨張特性に対するき裂および充填物の影響を調べた. その結果, き裂のない供試体の線膨張係数の測定結果とき裂を含む供試体のそれとはほぼ一致しており, 岩石の熱膨張特性に対するき裂の影響は無視することができる. それに対して, 充填物のあるき裂を含む岩石の場合には, 加熱に伴って充填物が収縮することにより, き裂のない岩石の線膨張係数よりもはるかに小さくなる場合がある. したがって, 岩盤の熱膨張特性を評価する際には, き裂の密度, 充填物の種類と厚さによっては, 充填物の影響を考慮することが必要になると考えられる.