抄録
本研究ではプロジェクトの評価費用を考慮した事前・再評価モデルを提案する. その際, リアルオプション理論を用いて, プロジェクト再評価により生じる損失回避便益 (中止オプション価値) とプロジェクト廃棄により過去にプロジェクトのために投下した費用 (サンク費用) が無駄になることを回避する便益 (タイミングオプション価値) を定式化するとともに, 最適なプロジェクト実施のタイミング, プロジェクト破棄のタイミングを決定できるような評価ルールを求める方法論を提案する. 本研究で提案する事前・再評価モデルの最適ルールは第2種フレドホルム型積分方程式の解として与えられることを示し, あわせてその解法を提案することとする. 最後に, 数値計算事例を用いて本研究で提案した事前・再評価システムの特性について考察する.