土木学会論文集
Online ISSN : 1882-7187
Print ISSN : 0289-7806
ISSN-L : 0289-7806
交雑域保全の重要性に関する考察
エヒメテンナンショウ雑種起源の可能性の検討を基として
増田 理子泉 勝也西村 文武
著者情報
ジャーナル フリー

2004 年 2004 巻 755 号 p. 67-73

詳細
抄録

開発による生物の生育地の破壊はその場所に生育する生物の絶滅だけでなく, 新しい種の出現にも大きな影響を及ぼす可能性が指摘されている. 新しい種は交雑によって出現する可能性があり, 生物多様性の増加に大きな貢献をする. しかし, これまで交雑による新種の出現が示された例はほとんどなかった. エヒメテンナンショウはその形質から, マムシグサとアオテンナンショウの雑種である可能性が示唆されていたが, 同所的に生育していないこと, 花の開花時期が異なることから交雑の可能性はないと考えられてきた. 今回の調査により, 開花期が一部重なることから, 交雑による種形成の可能性が示された. これまで考慮されなかった雑種形成による種分化の一例として交雑域の重要性が検討された.

著者関連情報
© 社団法人 土木学会
前の記事 次の記事
feedback
Top