2004 年 2004 巻 755 号 p. 75-84
今後の上水道事業において, リスクを伝えるコミュニケーションの過程が重要となってきており, 新たな情報公開技術が必要とされている. そこでは, 需要者がどのようにリスクを捉えるかを把握することが重要であり, そのリスク認知構造を明らかにすることが必要である. まず, Semantic Differential 法によるアンケート調査をもとに, 水道水に対するリスク認知の構成要素を明らかにした. 確認的因子分析法を用いて, 需要者の水道水に対するリスク認知における構成概念の構造モデルを構築し, 水道水質に対する安心感がどのように規定されているかについて考察し, 情報量, 未知性, 安心感に因果連鎖があることを示した. また, 水道水質については, よく知れば安心できるというものではない, ことを指摘した.