抄録
本研究では河岸保護機能があるとされるヨシ原で覆われた河岸を対象にヨシの地下茎の土壌保持効果に着目し, 護岸効果の評価方法を検討した. まず, 河岸下部で侵食が進行し不安定となったヒサシ形河岸の崩落について, 原寸大の河岸を再現した実験の結果から河岸にヨシが繁茂している場合の限界ヒサシ長さとヨシの地下茎密度との関係を明らかにした. 次に, ヒサシ状河岸より崩落したヨシを含む土塊の侵食に関して, ヨシの根の効果をヨシを含む土塊の侵食実験より明らかにしている. また, 斐伊川用水路のヨシ原河岸の観測結果と実験結果を比較し, ヒサシの崩落過程に関して崩落規模の予測が可能であることを示し, 崩落土塊の流送過程に関しては一定の土質条件の下, ヨシの密度と土塊の流送の関係を把握することができた.