抄録
近年, トンネル弾性波探査にトモグラフィ的解析法 (トモグラフィ法) が用いられる事例が増加したが, 解析に際しては初期速度設定方法が課題となる. 初期速度設定方法として, (1) 解析実績に基づく深度-速度関係を用いる方法, (2) 一様速度を与える方法, に加えて, (3) 簡易ミラージュ層解析結果を用いる方法, (4) 簡易層構造解析結果を用いる方法を提案し, さらに (5) 層構造解析 (はぎとり法解析) 結果を用いる方法, をとりあげ, 切羽強度指数一致率による評価を行った. 検討トンネルにおいては, いずれの設定法も顕著な差は見られなかったが, (3) および (4) が比較的実用的な方法であると考えられた. ここでは, トモグラフィ的解析法における初期速度設定方法とその評価について報告する.