2004 年 2004 巻 768 号 p. 209-218
十勝沖を震源とする地震が2003年9月26日の早朝に2度にわたり発生し, 北海道の太平洋沿岸を中心とした広い範囲に大きな被害を及ぼした. この地震を原因とする津波が北海道の太平洋沿岸全域から本州北部の太平洋沿岸の広い範囲で観測された. 今回の津波は沿岸部などに甚大な被害をもたらすことはなかったものの, 例外的な長時間にわたる水面変動が継続したこと, 複数の河川で河口から浸入した津波が河口から10km程度も上流までを溯ったことがその特徴として挙げられよう. 本文では, この津波の河道への浸入が認められた, 十勝川, 釧路川, 沙流川, 鵡川に関する水位記録, 現地調査結果をとりまとめるとともにこれらに対して考察を加え, 河川を溯上する津波の危険性を指摘した.