抄録
焼却炉解体工事現場の湿式除染工程から生じる排水には, PAH類, ダイオキシン類等, 多くの有害物質が含まれている. 排水処理に膜分離技術を適用するために, 排水中に含まれる有害物質の固液分配特性を調べた. PAH類, ダイオキシン類については, おおむね LogKow によって固液分配が説明できた. 固液分配に影響を与える因子として, 懸濁物濃度および溶存有機物濃度の影響を実験し, 平衡関係をモデル化した. 膜分離テスト機を試作し, 焼却炉解体工事排水に対して適用したところ, 処理水中のダイオキシン類濃度はTEQ換算で1pg/Lの環境基準以下にまで処理可能であった.