土木学会論文集
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2004 巻, 769 号
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  • 酒井 美月, 福村 絹海, 梶原 秀夫, 高橋 敬雄, 中平 浩人, 山本 正治
    2004 年 2004 巻 769 号 p. 1-9
    発行日: 2004/08/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    新潟市にある鳥屋野潟で湖底堆積物を採取し, 堆積年代とダイオキシン類の測定を行った. 鳥屋野潟の底質には高濃度のダイオキシン類が堆積しており, そのピークは1968年 (301pg-TEQ/g) であった. 1960年代始めから1970年代半ばの堆積層では, 底質の環境基準値 (150pg-TEQ/g) を上回った. 主成分分析を用いて汚染要因の抽出を試みたところ, 水田除草剤のPCP, CNPと焼却, PCB製品の影響が明らかになった. それぞれの寄与率では毒性等価濃度の大半をPCP, CNP起源の汚染が占めており, co-PCBの起源はほとんどがPCB製品であった. これら発生源となった化学物質は現在使用されていないが, 現在の水系の汚染も過去の化学物質の利用に大きな原因があることが明らかになった.
  • 露木 延夫, 近藤 勉, 西川 肇, 木田 哲量, 藤井 壽生, 今野 誠
    2004 年 2004 巻 769 号 p. 11-18
    発行日: 2004/08/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    森林生態系における水の循環機能の中で, 水源涵養機能が大きく評価されるようになってきた. 森林を緑のダムとして考える場合, 治水面においては, 森林土壌の地表流出緩和および浸透機能に関係して評価され, その効果は森林土壌の物理的な構造によって定量的に把握される. 本研究では森林土壌の水文学的特性に関わる土壌の物理的性質について, 広域かつ定量的に把握する手法として地中レーダを利用して得られた電磁波反射断面記録と現地で得られた森林土壌の孔隙組成や水分量などとの相関関係を分析し, 森林土壌の保水性に関わる特性を定量的に把握が可能であることを検証した. 本研究はこれまでの地植物学的な調査に対する新しい試みとして位置付けている.
  • 畠 俊郎, 宮田 喜壽, 木暮 敬二
    2004 年 2004 巻 769 号 p. 19-26
    発行日: 2004/08/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    揮発性有機化合物で汚染した地下水の浄化方法として, 地下水揚水法が代表的である. 本研究では, 修復の効率化を図るために, ファジイ推論による地下水揚水の制御手法について検討した. 提案する制御アルゴリズムは, 地下水位と汚染濃度に関するモニタリングデータを用い, 周辺環境へ与える影響と浄化効率の向上を考慮して, 揚水量を算定する. アルゴリズムの妥当性について検討するために, 実際の汚染地盤のデータを用いて模擬地盤を作成し, 数値シミュレーションを実施した. その結果, 本アルゴリズムを適用することで揚水に要するエネルギを大幅に削減できる可能性が明らかになった.
  • 田中 俊至, 浦瀬 太郎, 浅田 素之
    2004 年 2004 巻 769 号 p. 27-34
    発行日: 2004/08/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    焼却炉解体工事現場の湿式除染工程から生じる排水には, PAH類, ダイオキシン類等, 多くの有害物質が含まれている. 排水処理に膜分離技術を適用するために, 排水中に含まれる有害物質の固液分配特性を調べた. PAH類, ダイオキシン類については, おおむね LogKow によって固液分配が説明できた. 固液分配に影響を与える因子として, 懸濁物濃度および溶存有機物濃度の影響を実験し, 平衡関係をモデル化した. 膜分離テスト機を試作し, 焼却炉解体工事排水に対して適用したところ, 処理水中のダイオキシン類濃度はTEQ換算で1pg/Lの環境基準以下にまで処理可能であった.
  • 橋本 英資, 長尾 正之, 高杉 由夫
    2004 年 2004 巻 769 号 p. 35-42
    発行日: 2004/08/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    鉛直混合が盛んな瀬戸部では, 強流により海底から巻き上げられた浮遊砂が, 潮流により隣接した海域内に運搬され沈降する. この浮遊砂濃度を超音波ドップラー流速プロファイラー (ADCP) の音響強度から求めた後方散乱強度 (Sv) のにより推定し, さらに浮遊砂フラックス量について検討した. 調査は海砂の採取により砂堆が消滅した三原瀬戸海域で実施した. 初めにADCP計測と同時に, 採水により浮遊物質量 (SS) を測定した結果, ADCPのSvSSとの関係には, 高い相関が認められた. 次にSv値からSS濃度に換算し, 往復流のみにより輸送されるSSフラックスを計算した. この結果, 三原瀬戸海域においてSSフラックスの収支は流入を示した.
  • 和田 安彦, 中野 加都子, 尾崎 平, 岩本 綾乃
    2004 年 2004 巻 769 号 p. 43-54
    発行日: 2004/08/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    PETボトルのクローズドリサイクルを想定したリサイクルPETボトル, リユースPETボトルおよびバージン材PETボトルの回収率の違いによる環境負荷, コストを定量した. さらに, アンケート調査により, リサイクル, リユースPETボトルに対する市民の受入れ意思も明らかにした. 得られた各結果より, 各PETボトルの環境負荷, コスト, 受入れ意思を統合した総合評価を行った. その結果, 回収率が50%以下の場合は, バージン材PETボトルの評価が最も評価が高く, 回収率が60%以上の場合は, リサイクルPETボトルが最も評価が高くなった. リユースPETボトルは回収率にかかわらず, 今回最も低い評価であった. リユースPETボトルの評価を高めるためには, 回収率とともに市民の受入れ意思の向上が必要である.
  • 吉田 佳子, 野池 達也
    2004 年 2004 巻 769 号 p. 55-64
    発行日: 2004/08/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    リン鉱石は, 世界的に枯渇の懸念されている資源の一つであり, 下水汚泥はリン鉱石の代替資源として有望視されている, 本研究では, アルカリ溶出による下水汚泥焼却灰からのリン回収において, 圧送汚泥に凝集剤としてPAC, アルミン酸ナトリウムおよびポリ硫酸第二鉄を添加することにより, 添加時pHがリン放出抑制に及ぼす影響, 各凝集剤のリン放出抑制効果および得られた焼却灰のアルカリ溶出特性について, リン回収割合の増大を目的として検討した, PACは使用最適pHの範囲が広く, pH4においてアルカリ溶出可能なリンの割合が49%から84%に増大した.
  • 大野 博之, 斎藤 大, 伊藤 尚敬, 後藤 恵之輔
    2004 年 2004 巻 769 号 p. 65-74
    発行日: 2004/08/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    近年, 自然環境の保全・創出のためのプロジェクトが増加している. ダム貯水池の水位管理における弾力的運用もその一つの試みである. ダムの放流によってダム下流のアーマ・コート化や富栄養化を抑制し, 環境の改善を図ることが期待できるが, その効果を定量的に捉えることはこれまで難しかった.
    本研究では, ダムの放流の効果を定量的に把握する方法の一つとして付着藻類のより定量的かつ面的な調査法について検討した. その結果, 付着藻類の変化を定量的に捉えるには超低空リモートセンシングで撮影した近赤外画像を用いたクロロフィル量調査が有効であることを示した. また, 三春ダムでは, 放流量100m3/secの方が2m3/secの方よりも付着藻類の剥離は2倍以上の量になることが定量的に示された.
  • 西田 憲司, 須藤 賢, 佐藤 晶子, 納多 勝
    2004 年 2004 巻 769 号 p. 75-82
    発行日: 2004/08/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    近年, 世界各地において適切な処置をされずに投棄・埋設された廃棄物による土壌汚染が問題となっている. こうした背景から本研究では, 原位置で汚染物質を長期にわたり封じ込めるバリアシステムの開発を目指している. 本報告では, 定水位透水試験を応用した実大規模のバリアシステムの止水性能評価法, ラジオアイソトープ (RI法) によるバリア継手部の漏水箇所推定手法の適用に関する検討結果を述べている. 検討の結果, いずれの手法とも実用可能であることが確認された. さらに, 実大規模で施工されたバリアの透水係数はk=1.0×10-7cm/sec以下で, 世界で最も厳しい基準である米国環境保護庁 (EPA) の要求性能を満たしており, 本バリアシステムの有効性も確認できた.
  • 谷田 部純, 北野 義則, 影山 俊文
    2004 年 2004 巻 769 号 p. 83-88
    発行日: 2004/08/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    水ガラスから湿式法によって作成したシリカゲルを用いて空気中のトリエチルアミンの除去を行った. トリエチルアミンはシリカゲル表面に存在するシラノール基と反応し, シリカゲル上に固定されることがわかった. 熱分析とIR分析より, 熱処理でシラノール基の量が変化し, 200℃以上で縮合反応が始まり600℃で終了し, トリメチルアミンの除去量はこれに伴って減少した.
    シリカゲル上に固定されたトリエチルアミンは酸処理によって容易に除去され, 元のシリカゲルになった. この処理を20回繰り返してもトリエチルアミンの除去性能に変化はなかった. 最高除去率はシリカゲル1.0gあたりトリメチルアミン0.36gであった.
  • 山崎 慎一, 山口 隆司, 荒木 信夫, 角野 晴彦, 大橋 晶良, 原田 秀樹
    2004 年 2004 巻 769 号 p. 89-94
    発行日: 2004/08/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    4種類の微小電極を作成して, 河床礫付着生物膜内のpH, DO, アンモニア性窒素, 硝酸性窒素の濃度プロファイルを測定した. 明条件 (照度8000ルクス) の河床礫は, 光合成によって生物膜表層部でDOが急激に増加したが, 暗条件では, 表層部からDO濃度が減少し内部で消失した. 暗条件でのアンモニア性窒素消費速度は, 明条件の約1/2の値であった. 四万十川流域5地点の河床礫では, 5地点ともに生物膜表層部からアンモニア性窒素濃度は減少し, 硝酸性窒素濃度は増加した. アンモニア性窒素消費速度は, 上流の志和分大橋から中流の大正流量観測所までは0.06~0.13μmol/cm2・hの値を得たが, 岩間橋より下流では次第に減少する傾向がみられた.
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