抄録
既設構造物でも現行の耐震基準を満足する必要があるが, 地下構造物の壁はせん断耐力が不足している場合が多い, 耐震補強方法として様々な手法が挙げられるが, 地下構造物では建物や橋脚と異なり, 施工性や経済性の観点から, 耐震補強工事がなかなか進まないのが現状である. そこで「鉄筋差込」による簡易なせん断補強方法を提案する, この方法は壁の厚さ方向にドリルで削孔し異形鉄筋を挿入して定着させ, スターラップの事前配置と同様の耐荷機構を得ることを目的としている, この有効性を検証するため, 静的単調載荷試験と静的正負交番載荷試験を実施したところ, スターラップと比較して8割以上のせん断補強効果が得られた. この方法を実開削トンネル擁壁部に適用した事例と問題点について述べる.