抄録
歩行者により生じたM吊橋の水平振動を計測した結果, 歩行者の分布状況により桁は逆対称水平3次モード (固有振動数0.88Hz) または対称水平4次モード (固有振動数1.02Hz) で振動し, 最大応答振幅は約45mmに達していた. 桁と歩行者の水平変位は正弦波形を示し, 歩行者は桁の水平変位に同調していることが確認された. 歩行者の位相は, 桁の位相より120°から160°進んでおり, 歩行者の水平力は桁応答振幅を増大させる起振力となっていた. 常時微動計測により, 桁固有振動数が0.6Hz以下では歩行者と桁の共振は生じないことが明確となった. 橋の質量および減衰定数が小さいほど桁の応答変位は大きくなること, 桁振幅が45mm程度 (速度250mm/s, 加速度1,350mm/s2) になると自然に歩行することは困難であることを見出した.