2007 年 63 巻 1 号 p. 14-24
本研究は,地盤震動の鉛直アレー観測記録を用いた水平成層地盤の同定問題において,用いる評価関数とパラメータの推定精度との関係について明らかにすることを目的とした.同定の計算は一般にS波の重複反射を仮定して周波数領域で行われ,観測記録のスペクトル比をターゲットした評価関数がよく用いられる.そして,地盤モデルの周波数伝達関数とスペクトル比との残差を最小化するように,モデルのパラメータが同定される.しかし,スペクトルの平滑化の悪影響がしばしば指摘されている.一方,最近観測記録の時刻歴をターゲットした同定も行われるようになった.本小文では,新たな評価関数を提案するとともに,同定の精度,評価関数の形状および初期値の影響について比較・検討した.