2007 年 63 巻 1 号 p. 35-42
鋼床版に生じるき裂の中で,デッキとトラフの片面溶接ルート部から生じるき裂がデッキを貫通する方向に進展する例が数多く報告されはじめている.このき裂はルート部から発生するため発見が困難な上,デッキの陥没を誘発し大変危険である.本論文では,このデッキとトラフの片面溶接ルート部から生じるき裂について,エフェクティブノッチストレスの概念を取り入れることで,発生要因の解明と発生を抑制するための構造の検討を目的とする.載荷パターンおよびデッキ板厚・トラフリブスパン・溶接形状をパラメータとして,それらの影響について詳細なFEM解析により検討を行った.本研究では,エフェクティブノッチを導入した詳細なFEM解析により,デッキ貫通型き裂の発生を抑制する構造の提案を行う.