2007 年 63 巻 4 号 p. 561-575
スキャニングレーザードップラー速度計を三台連動させ,対象物の三次元挙動を高精度かつ空間的に高密度に計測可能な振動計測システムを開発する.計測原理としては,三方向から振動計測を行い,計測された速度成分を対象物に設定された直交座標系の成分にレーザー照射角度に基づく座標変換を用いる.まず,計測原理を検討するために基礎的なシステムを構築し,その妥当性を検証した.次に,現場計測への適用を想定して,任意の配置を許すスキャニング計測可能な三次元振動計測システムを構築し,屋内実験からその妥当性を検証した.本システムを用いて実構造物や実地盤を計測することで,常時微動や列車・交通荷重による三次元局所変形・振動特性を明らかにし,既存の社会基盤施設に対する予防保全・機能性向上に貢献することが期待される.