抄録
多数のセンサ・ノードを用いたネットワークセンシングは新しい計測手法として注目されている.本論文では,このネットワークセンシング技術を社会基盤センシングに適用する際の方向のひとつとして,階層型センサネットワークシステムの利用を提案する.センサネットワークを実際の計測に適用する際の最重要課題,「センサ間の時刻同期」と「個々のセンサの位置同定」の問題のうち,本論文ではシステムの実装の具体例として位置同定の問題を取り上げ,階層型の位置同定手法について述べる.この手法では音響測距とスケーラブルなアルゴリズムを用いて相対位置を推定された多数の末端ノード群に安価なGPSによる数センチメートル精度の絶対位置リファレンスが与えられる.