2009 年 65 巻 2 号 p. 505-513
超音波アレイ探触子で得られる欠陥エコーを用いて,材料内部の欠陥形状を再構成する逆散乱イメージング法が既往の研究1), 2)によって提案されている.その逆散乱イメージング法には,ボルン近似およびキルヒホフ近似を導入した2種類の手法があり,それぞれ欠陥の領域および境界を再構成することが数値シミュレーションによって示されている.本論文では,電子スキャン装置を用いて超音波計測を行い,逆散乱イメージング法の実験的検証を行う.ここでは,ボイドを模擬した欠陥として横穴を,き裂を模擬した欠陥としてスリットをそれぞれアルミニウム試験体に作成し,これらの位置および形状の再構成を行った.電子スキャン装置で計測された欠陥エコーを適切に波形処理することによって,欠陥形状が良好に再構成できることを示した.