2010 年 66 巻 2 号 p. 273-285
近年,疲労損傷が多発している鋼床版構造橋梁の鉛直スティフナー上端部および縦横リブ交差部をUIT(Ultrasonic Impact Treatment)によって疲労性能を向上させることを考えた.供用中の実橋梁において,X線応力測定装置による残留応力測定,荷重車を用いた発生応力の測定,およびUITによる施工試験を行った.この実構造での計測結果を基に,局部応力に着目した疲労試験を実施した.疲労試験では局部応力の絶対値と応力範囲をパラメータに検討を行い,局部応力の絶対値が疲労性能に大きな影響を及ぼすことを確認することができた.また,その結果を現場計測の結果と対照することにより,UITにより鉛直スティフナー上端および縦横リブ交差部の止端部からの疲労き裂の発生を防止できることが確認された.