抄録
レベル2地震動に対する耐震性能照査において,吊橋の鋼製塔柱等には降伏軸力比が50%程度の大きな圧縮軸力が生じることが報告されている.しかしながら,このような高圧縮軸力が作用する鋼部材の耐震性能は十分に明らかにされていない.そこで,本論文では,高圧縮軸力が作用する矩形断面鋼部材の耐震性能を把握するため,降伏軸力比が最大で50%程度の高圧縮軸力を供試体に作用させて正負交番載荷実験を行った.さらに実験を補完するため鋼材の繰返し塑性履歴特性を精度良く再現できる構成則による弾塑性有限変位解析を行った.そして,それら実験結果及び解析結果を基に,降伏軸力比,幅厚比パラメータ等の力学パラメータが鋼部材の耐震性能に与える影響を評価し,降伏軸力比が50%までの矩形断面鋼部材の耐震性能評価式を提案した.