土木学会論文集D1(景観・デザイン)
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和文論文
鉄道跡地の遊歩道利用におけるレールバンク制度の運用と有効性―ハイラインにおける合意形成の制度的枠組み―
木村 優介山口 敬太久保田 善明川崎 雅史
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2013 年 69 巻 1 号 p. 76-89

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抄録

 本研究では,米国の連邦制度であるレールバンクの枠組みを示した上で,ハイラインの再利用における所有権獲得の過程とレールバンクの役割について,実際の手続きにおける運用,全体計画に対するレールバンクの有効性という観点から明らかにすることを目的とする.結果,以下の点を明らかにした.1) 反対派の土地所有者によって路線廃止申請が行われる中,事前にレールバンクの利点を認識したニューヨーク市がトレイル申請を行うことで論点を転換し,反対派と密に合意形成を図る場を確保できた.2) 再利用の枠組みをトレイル法に求めたことで,ハイラインは交通路としても位置付けられ,連邦補助金を獲得する優位性を確保できた.さらに鉄道復帰に関する費用負担の代わりに,空間デザインの制約を緩和できる契約を通じて,大規模な施設の改変を保証できた.

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© 2013 公益社団法人 土木学会
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