土木学会論文集D1(景観・デザイン)
Online ISSN : 2185-6524
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和文論文
  • 小泉 雄大, 横内 憲久, 岡田 智秀
    2018 年 74 巻 1 号 p. 1-14
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/02/20
    ジャーナル 認証あり
     わが国では減反政策による転作地の増加をはじめ,農業の主労働力の高齢化や担い手不足による耕作放棄地の増大など農村景観形成に関わる農業経営問題が露呈している.そのため日本古来の原風景である水田風景がモザイク状となり,その魅力が失われつつある.
     農業経営形態の改善にはこれまで担い手増強策が注目されてきたが,今後さらに進むであろう少子高齢・人口減少問題をふまえると,今後の農村景観保全方策の一つとして,見せるべき健全な農地を集落の中心に配し,余剰農地を集落外縁に移転して周辺山林と景観的融和を図る,コンパクトな農村景観形成方策を構築すべきと考える.
     そこで本研究では,農業就業人口の減少に応じて,農地を縮小させつつ美しい農村景観を創出するための「コンパクトファーム」を提案し,その実現可能性について考究した.
  • 中西 章敦, 佐藤 誠治, 小林 祐司
    2018 年 74 巻 1 号 p. 15-28
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/02/20
    ジャーナル 認証あり
     生物多様性を生み出す里地・里山と同様に,人の暮らしと密接した里川について,大分県南部から中部を流下する大野川流域を対象に以下の3つの視点からその空間構造と心象風景の関係を分析した.
     1. 流域内から川と一体的に景観を形成している集落を抽出し,現地調査を行い空間構造を明らかにした.
     2. 現地調査を行った里川について,現地調査データをもとに4つのクラスターに分類した.
     3. 住民へのアンケート調査およびヒアリング調査をもとに里川景観の特徴を明らかにした.
     これら分析の結果,河川と人の生活とが調和した里川における景観の復元の方向性を考える上での重要な基礎資料を得る手法を導出した.今後の河川整備における河川景観の創出に活用できると考えている.
  • 稲葉 諒介, 岡田 智秀, 横内 憲久
    2018 年 74 巻 1 号 p. 29-38
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/20
    ジャーナル 認証あり
     本研究では現代の夜景鑑賞が生まれるきっかけとなった都市部のウォーターフロントに着目し,飲食店から眺めるウォーターフロント夜景の特徴とともに,視点場となる飲食店の立地特性や営業特性等の分析を通じて,ウォーターフロント夜景の魅力を実現する飲食店の成立要件を明らかにすることを目的とする.
     その結果として,分析対象店舗は首都圏の一般的な飲食店と比べ,8倍も長期間にわたり営業を継続しており,これらについて水際線からの立地距離の特徴を把握したところ,水際線から陸側500 m以内の立地が重要となることを示し,さらにウォーターフロント夜景の構図分類や立地的・営業的特徴の考察を通じて全4型が得られ,各型を構成する飲食店の各種共通性から,各型の成立要件を明らかにした.
  • 白柳 洋俊, 平野 勝也, 河田 泰明
    2018 年 74 巻 1 号 p. 39-50
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/20
    ジャーナル 認証あり
     本研究では,歴史まちづくりに代表される和風の街並を対象に,検索手がかりによる街並の想起の促進及び抑制を心理実験により検証した.具体的には,街並を構成する建築に着目し,和風感及び真正性により類型化した建築画像を検索手がかり刺激とし,再認課題を実施した.このとき,検索手がかり刺激の提示方法を,再認課題に対して時間的に先行して与える継時的検索手がかりと,同時に与える同時的検索手がかりの2種類設定し,各提示方法における検索手がかり刺激による建築刺激の再認成績の差異を検討した.その結果,和風感及び真正性がともに高い建築刺激が継時的検索手がかりとなると建築刺激の想起が促進される一方,和風感及び真正性が低い建築刺激が継時的的手がかり及び同時的手がかりとなると建築刺激の想起が抑制されることを明らかにした.
  • 山下 三平, 丸谷 耕太, 林 珠乃, 大森 洋子
    2018 年 74 巻 1 号 p. 51-62
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/20
    ジャーナル 認証あり
     本研究は伝統工芸の重要文化的景観地である小鹿田皿山を対象とし,窯元/家族の実存的景観の表象と評価を調べ,この地と関連が深い小石原皿山と比較して,窯業/伝統工芸の里の文化的景観の保全・活用に寄与すべき知見を得ることを目的とした.写真投影法による調査の結果,小鹿田焼の窯元と家族にとっての実存的な景観は,作業様相,人間,道具類,活動場,屋内外の作業をつなぐ中間領域等によって特徴づけられることがわかった.また小鹿田では生業者/生活者自身の内なるまなざしが,小石原では窯元/家族が想定する来訪者の外からのまなざしが,景観表象に投影されやすいと推察された.以上より内なるまなざしが地元に明瞭に確認される場合,景観の観光利用の視線に相反することについて,地域計画/管理の上で,留意が必要であることが指摘された.
  • 樋口 明彦, 播田 一雄, 鈴木 正美, 伊東 和彦
    2018 年 74 巻 1 号 p. 63-74
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/20
    ジャーナル 認証あり
     筆者等は,平成24年に完成した嘉瀬川ダムのダム堤体景観検討ワーキンググループに,学識経験者,設計コンサルタント,運営事務局等の立場で参加した.本ダムの景観設計では,その目標を全面越流式ダムの形態的な特徴を質実に表現することに置いた.本稿は具体の設計プロセスとその成果について解説している.目標の実現に向けて,機能主義とミニマリズムの概念を適用し,予備ゲート操作室,選択取水塔,エレベーター塔屋等付属施設の設計の見直しと配置の変更をおこなった.主要付属施設のボリューム・形状・配置を最適化することにより,嘉瀬川ダムの景観的質を高めることができたと考えている.
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