2018 年 74 巻 1 号 p. 75-93
本稿は,岩手県上閉伊郡大槌町の町方地区震災復興土地区画整理事業における公共空間(道路・街路と公園・広場)のデザインに関する報告・分析を通し,復興計画等に示された公共空間の役割と,その実現に向けたデザイン検討過程の課題について考察するものである.2013年度までの計画内容から,町方地区に再整備される公共空間の役割が,日常と非常時に有効な歩行者ネットワークの形成,近隣コミュニティのための豊かな生活空間の実現,新たな街の中心市街地としての風景の創出の3点に整理できること,またデザイン検討をおこなった町方まちづくりWS2014,2015および景観概略設計等の内容と特徴の整理から,復興事業上の制約や自治体の事情に起因するデザイン検討上の課題,およびその対策と成果について明らかにした.