抄録
本論文では,DE-Sinc数値計算法を境界値の近似に用いた境界要素法(DE-Sinc境界要素法)を開発し,周波数領域の2次元面外波動問題に適用した.本論文で対象とする問題は,無限領域内の円状散乱体による入射波の散乱問題であり,表面力フリーと変位固定の二種類の境界条件を取り扱った.また,境界積分方程式に含まれる特異性の取り扱いに関して,正則化された境界積分方程式を用いる方法と,強特異核を解析的に評価する方法の二通りの手法を示した.これらの手法と一定要素を用いた従来の境界要素法に対して,計算精度および係数行列の計算時間の比較を行った.その結果,本手法によって,短い計算時間で精度の高い計算を実現することが可能となることが確認された.