2020 年 76 巻 2 号 p. I_25-I_33
災害時における施設のレジリエンス性を高めるためには,対象施設の状況を即時に把握し,状況に適した合理的な対策を行うことが重要である.本研究では,数値解析で得られた時空間データに基づいて,限られた観測から対象全体の挙動を推測するモデルを提案すると共に,このモデルを効果的に機能させる観測点最適化手法を提案した.モデルは特異値分解によるデータの学習によって構築し,観測点の最適化には列ピボット選択を伴う QR 分解を利用している.ここでは例題として,地震時の液状化による盛土の沈下過程の数値解析結果に対して適用した.ランダムな観測点からの推定精度と比較することにより,提案手法の有効性を示し,また最適化された観測点が数値解析の力学的特徴を反映していることを示した.