2020 年 76 巻 2 号 p. I_3-I_14
高速鉄道用 PRC 桁のひび割れは桁剛性と関連する重要な評価項目であるが,列車通過時以外はプレストレスにより閉口する傾向にある.このため振動など,目視に依らない評価が求められるが,瞬間的に変動する固有振動数の評価や列車荷重の分離などに課題があった.本研究では,外力特性を考慮した時変システム同定法である Bayesian TV-ARX 法を,高速鉄道用 PRC 桁の列車通過時の測定変位波形に適用することによって,連続 Wavelet 変換では推定できない振幅に依存した固有振動数の瞬間的な低下が生じていることを実証的に示した.さらに,その主要因は下側振幅時のひび割れ開口であり,対象橋梁では列車通過中の桁の曲げ剛性が瞬間的に,微小振幅時から 30%程度低下する場合があることを明らかにした.