抄録
2005年秋,岡山県のダム貯水池の側湾底層に水質・流速計を係留した.機器の設置(10月31日)と回収(11月9日)の際,側湾奥から本川下流ダム壁近傍まで水質プロファイルを測定した.設置時には貯水池下流端深部に溶存酸素量が0mg/Lに近い低温の貧酸素層が存在したが,回収時には10mg/Lに回復するとともに水温が上昇していた.その間,連続計測した側湾底層の流速記録から冷却性対流循環により側湾から本川へ向かう下層密度流の発生が確認された.下層密度流の貯水池内の縦断流れ構造を斜面で発生する下層プルームの相似解と比較して評価した結果より10月31日の貧酸素・低温の貯水池底水が側湾から下層密度流として潜入した水に置換えられたと考えられる.