2010 年 66 巻 2 号 p. 189-195
淡塩水境界面の位置計測に対する時間領域反射法(TDR)の有効性を評価するために,48cm長プローブを用いて,その先端から境界面までの距離hiの計測の可否と精度を調べた.hiを評価するために,本法では,プローブに与えたマイクロ波ステップパルスのTDR波形が,塩水によるエネルギー吸収によって急変する特徴を利用した.水質変化を想定し,淡水の電気伝導度σfwが異なる条件でhiを評価した結果,淡水中を伝播するパルスのエネルギー損失が大きい場合,すなわちσfwが高く,淡水層が厚い場合にhi計測が困難になった.しかし,高σfw条件でも,淡水層が薄くなりエネルギー損失が抑制されると,hiは計測可能となり,測定誤差は概ね1cm未満となった.また,たとえ境界面が変動しても,静的な水理条件では同等の精度でhiを評価できることを確認した.