抄録
火山灰土の性状を簡易な土質指標で的確に判定することは難しく,寒冷地で問題となる凍上性に関しても性状判定に有効な土質指標は存在していない.そこで本論文は,北海道に分布する代表的な粗粒火山灰土47試料を用いて,自然含水比や土粒子の密度などの物理的性質と凍上性との関連を調べ,凍上性判定に適する土質指標について考察した.従来型の細粒分含有率と強熱減量による火山灰土の凍上性判定は,基準値を満足すれば凍上性の火山灰土が出現する確率は少ないものの,基準値外に多くの非凍上性のものが存在することが示された.また,自然含水比と最適含水比の関係を用いることにより火山灰土の凍上性を簡易に推定することが可能であった.