土木学会論文集C
Online ISSN : 1880-604X
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62 巻, 1 号
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和文論文
  • 田中 洋輔, 今井 五郎, 片桐 雅明, 西村 正人
    2006 年 62 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/03/17
    ジャーナル フリー
     超軟弱粘土地盤の自重圧密中の強度特性を調べるために,遠心加速度場で自重圧密した模型粘土地盤に対してベーンせん断試験を行い,ベーンせん断強度と自重圧密解析より推定した有効応力および含水比との関係について検討した.その結果,自重圧密中の超軟弱粘土のせん断強度と含水比の間には,圧密の程度によらない固有な関係があることが分かった.また,遠心力除荷による応力解放が,自重圧密解析,ベーンせん断強度に及ぼす影響についても検討した.その結果,応力解放が解析結果に及ぼす影響は小さく,せん断強度と有効応力の関係については,等価有効応力を用いることで評価できることが分かった.
  • 浜田 信彦, 後藤 茂, 真野 英之, 大西 有三
    2006 年 62 巻 1 号 p. 12-21
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/03/17
    ジャーナル フリー
     地中構造物を遮水壁で囲むことによる地盤が液状化した時の浮き上がり変位抑制効果について遠心模型振動実験をおこなって検討した.実験結果から遮水壁の設置により地中構造物の浮き上がり変位が大幅に低減できること,遮水壁の厚さや構造物下の液状化層の厚さにより浮き上がり変位量が変化することなどが明らかになった.更に,「地中構造物下の液状化層を閉鎖空間化する」という対策原理に則った浮き上がり変位抑制効果の評価方法について検証した結果,非液状化層の剛性低下や遮水壁に作用する液状化した地盤の圧力の浮き上がりによる変化等を考慮することにより,梁バネモデルを用いた計算により実験時の構造物の浮き上がり変位量をよく示せることが明らかになった.
  • 佐藤 忠信, 松丸 貴樹
    2006 年 62 巻 1 号 p. 22-34
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/03/17
    ジャーナル フリー
     本論文はメッシュフリー法の一種であるElement Free Galerkin法 (EFGM) を用いた液状化・流動現象の数値解析法を構築することを目的とする.まず,微小ひずみ理論に基づく解析法を展開し,強制傾斜土槽を用いた振動台実験の数値シミュレーションを通じて解析手法の妥当性を検討する.次に,解析手法を有限変形場へ拡張し,解析手法の妥当性を検証した後,斜面の流動破壊を想定した解析を通じてEFGMに基づく解析の有用性を示す.
  • 川端 伸一郎, 池田 晃一, 神谷 光彦
    2006 年 62 巻 1 号 p. 35-44
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/03/17
    ジャーナル フリー
     火山灰土の性状を簡易な土質指標で的確に判定することは難しく,寒冷地で問題となる凍上性に関しても性状判定に有効な土質指標は存在していない.そこで本論文は,北海道に分布する代表的な粗粒火山灰土47試料を用いて,自然含水比や土粒子の密度などの物理的性質と凍上性との関連を調べ,凍上性判定に適する土質指標について考察した.従来型の細粒分含有率と強熱減量による火山灰土の凍上性判定は,基準値を満足すれば凍上性の火山灰土が出現する確率は少ないものの,基準値外に多くの非凍上性のものが存在することが示された.また,自然含水比と最適含水比の関係を用いることにより火山灰土の凍上性を簡易に推定することが可能であった.
  • 若井 明彦, 天野 正道, 飯塚 豊, 鵜飼 恵三
    2006 年 62 巻 1 号 p. 45-56
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/03/17
    ジャーナル フリー
     ジオグリッドと模型パネルからなる模型補強土擁壁の室内振動台実験を行い,その地震時挙動を動的弾塑性有限要素法により予測しうることを確認した.次に,実スケール擁壁の現場施工実験を行い,その施工過程の動態観測結果を現場採取土の土質試験結果などに基づいた弾塑性有限要素解析により予測することを試みた.最後に,施工過程を再現するのに用いた地盤パラメータに基づいて,動的弾塑性有限要素法により実際の補強土擁壁の耐震性能を予測した.以上より,上記工法に基づく補強土擁壁工法の耐震性能評価のための合理的な解析手法を提案した.
  • 京谷 孝史, 西岡 英俊
    2006 年 62 巻 1 号 p. 57-66
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/03/17
    ジャーナル フリー
     マルチスケール解析法の一般的な枠組みに基づいて,岩盤のように分布亀裂を含む物体の力学挙動を扱うために,亀裂面の摩擦接触を考慮した非線形マルチスケール解析法を構築した.亀裂の摩擦接触解析については,Lagrange未定乗数法と鞍点定理に基づいた定式化と有効制約条件法による解析アルゴリズムを示した.規則的な平行亀裂群を有する不連続性岩盤モデルを想定した平板載荷試験とブロックせん断試験の解析を行い,亀裂の摩擦接触挙動を考慮したマルチスケール解析法の岩盤構造物への適用可能性を示した.
  • 古河 幸雄, 會津 大三, 藤田 龍之
    2006 年 62 巻 1 号 p. 67-78
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/03/17
    ジャーナル フリー
     浄水汚泥の有効利用として,路盤や路床,埋戻し等を対象として検討した.浄水汚泥を単に乾燥した場合とまさ土を混合してCBR試験を行い,改良効果を検討した.まさ土を混合すると,強度の増加よりも含水比低下の方が著しいことが分かった.また,埋戻し土としての品質の目標をCBR≧10%としたとき,これを満足するためには,単に150%以下に含水比を低下させるか,あるいは浄水汚泥にまさ土を約70%混合しなければならないことが分かった.路床,路盤材料への検討は,乾燥させた浄水汚泥,およびそれにまさ土を混合し,修正CBR試験により検討した.浄水汚泥を単に1OO%程度以下の含水比にするだけで路床,下層路盤の品質を満足することができ,これにまさ土を混合するとさらに改良効果が高まることが明らかになった.
  • 全 邦釘, 井上 純哉
    2006 年 62 巻 1 号 p. 85-96
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/03/17
    ジャーナル フリー
     地下水による物質移行の解析には,従来よりFickの拡散方程式に基づく移流拡散方程式が用いられてきた.しかし一般に岩盤中では,Fickの移流拡散方程式に従わない,いわゆる異常拡散が生じることが現地観測や実験的事実により知られている.そこで本研究ではまず,異常拡散のメカニズムを解明することを目的とした.次いで,解明された異常拡散のメカニズムを考慮することで,透水係数にばらつきの無い均質な場のみならずばらつきのある不均質な場においても物質移行を予測できる手法を提案し,提案された手法の妥当性を実験結果との比較により検証した.
  • 堀 智仁, 山下 聡, 山口 岳志, 鈴木 輝之
    2006 年 62 巻 1 号 p. 97-109
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/03/17
    ジャーナル フリー
     砂質土および粘性土の擬似弾性係数に及ぼす堆積構造の異方性の影響を調べるために,堆積構造の異なる供試体を作製し,ベンダーエレメントを用いて直交する3方向のせん断波速度を求め比較した.さらに,繰返し載荷試験および単調載荷試験からヤング率を求め,弾性係数の異方性を調べた.その結果,ベンダーエレメント試験では,堆積面に平行に伝播・振動するせん断波から得られたせん断弾性係数は,他の2方向で得られたそれよりも高く,今回行った試験では豊浦砂に比べNSF粘土のせん断弾性係数の異方性が高いことがわかった.同様に,載荷試験から求めたヤング率も,小ひずみ域では堆積面に垂直な方向に比べ平行な方向のヤング率が高く,ベンダーエレメント試験の結果と同様の傾向を示した.
  • 大塚 勇, 青木 智幸, 大町 達夫, 伊藤 洋
    2006 年 62 巻 1 号 p. 110-126
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/03/17
    ジャーナル フリー
     近年,山岳トンネルの補助工法である長尺鏡止めボルトは,鏡面の安定対策として採用され,その施工実績は増加している.しかしながら,ボルトによる地山補強効果については不明な点が多いのが現状である.本論文では,長尺鏡止めボルトによる地山補強効果を原位置試験と数値解析によって定量的に評価する方法について述べる.特に,地山とボルトとの付着特性に着目し,三次元数値解析によって地山とボルトとの付着特性の違いが長尺鏡止めボルトの補強効果に及ぼす影響について検討した.付着特性が異なると地山とボルトとの相互作用機構が異なり,鏡面の押出し変位量の抑制効果に違いが現れることを指摘する.
  • 林 宏親, 三田地 利之, 田中 洋行, 西本 聡
    2006 年 62 巻 1 号 p. 127-138
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/03/17
    ジャーナル フリー
     泥炭性軟弱地盤は,高有機質で特異な工学的性質を有する極めて軟弱な特殊地盤である.本研究において,泥炭性軟弱地盤から採取した不撹乱試料に対して三軸K0圧密試験を実施するとともに,原位置においてダイラトメーター試験を行い,泥炭性軟弱地盤のK0値の評価法について検討を行った.
    その結果,泥炭および有機質粘土の正規圧密状態でのK0値は,強熱減量の増加に伴いほぼ直線的に減少することが確認された.また,粘土などの無機質土よりも応力履歴に強く依存し,過圧密比の関数として表現できること,さらにその際の定数は,強熱減量の増加に従い大きな値を示すことがわかった.ダイラトメーター試験からK0値を推定する場合,岩崎の提案式の適用性が比較的高いことが明らかとなった.
  • 尾澤 知憲, 大塚 悟, 土居 正信
    2006 年 62 巻 1 号 p. 139-150
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/03/17
    ジャーナル フリー
     岩盤不連続面のせん断強度は不連続面の凹凸形状(アスペリティ)に大きく影響される.本研究では岩盤不連続面の破壊機構について上界定理を用いた検討を行い,不連続面のせん断強度がアスペリティ幾何情報を用いた区分線形近似により表されることを示した.不連続面の凹凸形状の定量的評価にRengersの形状評価手法を用いることで,区分線形強度式のパラメータがアスペリティ幾何情報に基づいて客観的に決定されることを示した.さらにRengersの形状評価手法を導入したせん断強度モデルを提案した.提案モデルの適用性は上界定理による解析解および実岩盤不連続面の実験結果との比較を行うことで明らかにした.
  • 堀田 大介, 三浦 清一
    2006 年 62 巻 1 号 p. 157-168
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/03/17
    ジャーナル フリー
     本研究では等方圧密または異方圧密された供試体の平均有効主応力を一定に保持した一連の単調ねじりせん断試験,繰返しねじりせん断試験を実施し,圧密条件や載荷条件の違いによる粒子破砕挙動について詳細に調べた.その結果,単調載荷過程における粒子破砕特性は有効応力比のみならず,主応力軸回転の有無およびその方向によって異なることが明示された.また,繰返し載荷過程で生じる粒子破砕は等方圧密供試体に比べて異方圧密供試体において卓越したことから,連続的な主応力軸回転が粒子破砕特性に影響を及ぼす可能性が示された.さらに,繰返し載荷過程で生じる粒子破砕は応力とひずみの時刻歴から求まる累積塑性仕事量によって定量化できることを明らかにした.
  • 升元 一彦, 藤田 朝雄, 杉田 裕
    2006 年 62 巻 1 号 p. 175-190
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/03/30
    ジャーナル フリー
     高レベル放射性廃棄物の地層処分においては,坑道周辺に生じる掘削影響領域が周辺の岩盤よりも透水性が大きいために核種が選択的に移行する経路になる可能性がある.掘削影響領域の透水性を低下させる技術としてグラウトが考えられ,周辺のバリア性能へ影響を考慮するとグラウト材料として粘土系材料を選択することが望ましい.この粘土グラウトの掘削影響領域への適用性や透水性低下性能を把握するために,原位置における適用試験と試験結果のモデル化を行った.この結果,粘土グラウトによる掘削影響領域の目詰まり機構を把握することができ,粘土グラウトの注入効率において最適な注入濃度が存在することが示された.
  • 磯部 公一, 木村 亮, 吉澤 幸仁, 河野 謙治, 原田 典佳, 槇野 健
    2006 年 62 巻 1 号 p. 191-200
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/03/30
    ジャーナル フリー
     渡河橋梁の班設ケーソン基礎に対する耐震補強工法として,ケーソン基礎の周囲に鋼管矢板基礎を増設しケーソン基礎と結合させることで,水平耐力を構造的に増加させ耐震性の向上を図る工法が提案されている.既に数例の施工実績を有する工法ではあるが,鋼管矢板基礎増設による補強効果や鋼管矢板基礎が分担する水平支持力の割合等のメカニズムが明確でないため,統一された設計手法が未確立であるのが現状である.本研究では,鋼管矢板基礎増設により補強されたケーソン基礎の水平支持力特性に影響を与える要因として,ケーソン基礎と鋼管矢板基礎をつなぐ頂版の結合状態,ケーソン基礎と鋼管矢板基礎の剛性比,支持層の剛性を挙げ,これらの要因が補強メカニズムに与える影響を遠心模型実験により検証した.
  • 内田 善久, 蓮本 清二, 野田 兼司, 神藤 健一
    2006 年 62 巻 1 号 p. 201-214
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/03/30
    ジャーナル フリー
     岩盤割れ目を対象としたグラウチング技術の高度化を目的に,注入孔から割れ目への注入状況を模型実験で可視化することにより,次の結果を得た.(1)岩盤割れ目へのグラウチングでは,注入孔と割れ目交差部の目詰まりの影響によって,注入圧カー定でも時間の経過とともに注入流量は減少する.(2)この原因は,セメントグラウト中に含まれる割れ目よりも大きなサイズの微量な粗粒分や団粒化した凝集物の影響が大きい.(3)注入流量は,割れ目幅と注入圧力とグラウト配合に関係するとともに,複数割れ目の相互の影響にも関係する.(4)目詰まり防止には,網目を通過させる方策等が有効である.以上から,グラウチングを効率化するための注入仕様等の方向性を提案した.
  • 荒井 克彦, 辻 慎一朗
    2006 年 62 巻 1 号 p. 215-226
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/03/30
    ジャーナル フリー
     平板載荷試験や孔内鉛直載荷試験,孔内水平載荷試験(プレッシャーメータ試験)で計測される荷重-変位関係から,地盤の双曲線型応力-ひずみ関係を想定して,地盤の Mohr-Coulomb 強度定数 c,φ を推定する手法を開発する.非線形応力-ひずみ解析に増分法を,c,φ の最適化計算にシンプレックス法を用い,計測変位と計算変位の誤差二乗和を最小とする c,φ を決定する.荷重-変位関係に及ぼす c と φ の影響の仕方が大きく異なることを利用して,原位置載荷試験で通常計測される変位データから,c と φ を分離して推定できることを示す.この方法を平板載荷試験や孔内載荷試験の室内模型実験に適用して妥当性を検証する.以上の結果,原位置試験結果から地盤の c と φ を逆算する実用的な手法を得た.
  • 笹原 克夫, 南 哲行
    2006 年 62 巻 1 号 p. 227-239
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/03/30
    ジャーナル フリー
     間隙比や粒度分布などの土質特性が砂質土の不飽和せん断強度に与える影響を把握するため,初期間隙比・50%粒径・均等係数をこれらの土質特性を表す特性値と考え,それぞれの特性値を変化させた供試体について,飽和及び不飽和条件下での三軸圧縮試験を実施し,上記の土質特性が変化した場合の不飽和せん断強度増分に与える影響を検討した.その結果初期間隙比及び50%粒径が大きくなると不飽和せん断強度増分は小さくなるが,均等係数が大きくなると不飽和せん断強度増分は大きくなること,そして不飽和せん断強度増分に最も大きな影響を与えるのは均等係数であることや,細粒分含有率と骨格間隙比は土質特性と不飽和せん断強度増分の関係を統一的に表せないことが判明した.
  • 吉本 憲正, 兵動 正幸, 中田 幸男, 村田 秀一, 本郷 孝, 大中 昭
    2006 年 62 巻 1 号 p. 246-257
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/03/30
    ジャーナル フリー
     造粒石炭灰のさらなる利用用途の拡大を目指し,その一つである埋立材としての利用を想定し,その際に懸念される液状化に着目した.造粒石炭灰に対して非排水繰返し三軸試験を行い,その結果を自然砂の結果と比較することにより,繰返しせん断特性を明らかにすることを目的とした.その結果,造粒石炭灰の繰返しせん断強度曲線は,拘束圧の影響を受け,曲線が緩やかになるものの,自然砂の繰返しせん断強度曲線の上方に位置することがわかった.また,造粒石炭灰は顕著な粒子破砕を示すことが認められた.そして,圧密時に起こる粒子破砕は構造の安定化に寄与するため,高い繰返しせん断強度を発揮し,せん断時の粒子破砕は,軸ひずみの発生に寄与するため,繰返しせん断強度を低下させることが推察された.
和文ノート
  • 吉塚 守, 大窪 克己, 吉武 勇, 中川 浩二
    2006 年 62 巻 1 号 p. 79-84
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/03/17
    ジャーナル フリー
     本研究では,山岳トンネルのロックボルト設計に寄与できるよう,普通・高耐力の鋼製ロックボルトやFRPロックボルトなどの(定着モルタルの)若材齢期における引抜き実験を行い,その付着強度特性の比較評価を行った.実験結果より,鋼製ロックボルトの機械的性質の差異より.鋼・FRPといった材料の差異がロックボルトの付着強度に顕著な影響を及ぼすことが示された.
  • 大塚 勇, 青木 智幸, 大町 達夫, 伊藤 洋
    2006 年 62 巻 1 号 p. 151-156
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/03/17
    ジャーナル フリー
     山岳トンネルの補助工法である長尺鏡止めボルトは,切羽の安定対策のみならず,地表面沈下の抑制対策としても採用されているが,長尺鏡止めボルトによる地表面沈下の抑制機構について十分な考察が行われていないのが現状である.本論文では,土被りの小さいトンネルを対象に,三次元数値解析によって,長尺鏡止めボルトによる地表面沈下の抑制効果について検討した結果,砂質土系地山でその効果が大きく,長尺鏡止めボルトは,切羽前方だけでなく切羽から地表面に向かう領域にも応力を拘束し,地表面沈下を抑制する効果があることがわかった.
  • 荻野 俊寛, 及川 洋, 三田地 利之, 対馬 雅己, 西田 浩太
    2006 年 62 巻 1 号 p. 169-174
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/03/17
    ジャーナル フリー
     ベンダーエレメント試験における送信波と受信波の関係は試験装置系のインパルス応答に支配されるとの考えから,時間引き延ばしパルス (Time Stretched Pulse: TSP) を利用してインパルス応答を求める手法をベンダーエレメント試験に適用することを試みている.豊浦砂を用いた実験により,求めたインパルス応答はその応答長よりも長い波長の矩形波を送信波として用いたベンダーエレメント試験の受信波形と近似すること,インパルス応答から走時法により決定したせん断波速度は従来の方法と近似することを示している.また,インパルス応答における振動数毎の位相差から求めたせん断波の位相速度が振動数に依存する分散性について示している.
  • 兵動 正幸, 金 鍾根, 福本 圭祐, 山田 卓, 吉本 憲正
    2006 年 62 巻 1 号 p. 240-245
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/03/30
    ジャーナル フリー
     珪砂と海成粘土の砂粘土混合土を作成し,等方および異方圧密下で一連の非排水繰返し三軸試験を行った.砂から粘土に至る土の細粒分含有率の違いが繰返しせん断挙動に与える影響について調べた.等方圧密下での繰返しせん断試験によって,骨格間隙比が骨格砂の最大問隙比より低い,細粒分含有率が Fc=9.8%未満の混合土は液状化を起こすが,それ以上の細粒分含有率では過剰間隙水圧が有効拘束圧まで到達しないことが観察された.異方圧密においては,塑性指数の高い試料ほど残留ひずみによる繰返しせん断破壊を起こしやすいこと,Fc=20%付近で,砂骨格と粘性土の強度が加算され強度が高くなることなどが認められた.さらに細粒分含有率が Fc=30%を越えると強度は粘土に近くなることが明らかとなった.
和文討議
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