抄録
本論文では,現地踏査と地震直後に撮影された航空写真の判読により,2004年新潟県中越地震による液状化発生地点の全体像を明らかにすると共に,現地踏査により液状化による被害の様相を明らかにした.さらに,微地形条件の調査および既存のボーリング資料から,液状化が発生した場所の地形・地盤条件を調べ液状化発生の素因についての考察を行った.その結果,震源地から約30kmの範囲に液状化が多数発生し,1964年新潟地震で液状化が発生した同じ場所で今回も噴砂が確認された.液状化したと推定される地層を地形・地盤特性から分類すると,1) 信濃川およびその支流の河成砂,2) 扇状地性の砂礫地盤における砂利採取跡地の埋戻し土,3) 腐植土や粘性土が堆積する軟弱地盤上の盛土や埋戻し土,4) 海岸砂丘の裾の自然堆積の砂丘砂および砂丘砂による盛土,となった.