抄録
補強土壁における現行の耐震設計では,力学的な釣合いより求めた安全率が評価指標として用いられているが,頻度の低い大規模地震動に対してはある程度の変形を許容する方が現実的であり,変形量に基づく合理的な設計法が望まれている.一方,台湾集集地震ではブロック積み補強土壁が大変形したことが確認され,壁面工の影響が補強土壁の変形量に及ぼすことが予想される.そこで本研究では,アンカー式補強土壁について壁面工の違いに着目した動的遠心実験を実施し,耐震性に及ぼす壁面工の力学的効果について検討するとともに,Newmarkのすべりブロック法による変形解析を行い,補強土壁の変形予測を試みた.この結果,壁面工の違いにより変形モードが異なることが遠心実験及び変形解析により確かめられた.