2006 年 62 巻 4 号 p. 780-792
神戸空港は神戸港沖に埋立造成して築造されたが,海底地盤には洪積層が厚く堆積している.大阪湾の洪積粘土は擬似過圧密粘土とされており,その挙動については不明確な部分が多い.あわせて海成粘土層の間に堆積している砂礫,砂,粘土の互層部の排水能力が不明確であった.これらのことを解明するために,洪積層において区間変位測定器および多深度間隙水圧計により圧縮量や間隙水圧の測定を行った.対象としたのは,埋立荷重により正規圧密状態に入ると思われる洪積層の上部に分布するDs1~Ds3層(互層部)とMa12層,Ma11層の上部である.計測の結果,Ma12層の上部については実測による圧密降伏応力を把握することができ,室内土質試験より求められた値に対する低下率を把握することができた.あわせて,互層部の排水能力の高いことが確認できた.