抄録
各種施設の設計基準に,性能規定による信頼性設計が本格的に導入されつつある.本論文では,このような動向に対応した実用的な土質定数設定法を提案している.性能照査に用いる土質定数は,地盤工学会基準JGS4001に基づき設定される.特性値は原則として導出値の平均値であるが,単なる導出値の算術平均ではなく,統計的な平均値の推定誤差を勘案しなければならない.しかし,実際には,堆積状況のばらつき,調査・試験法に起因した誤差,限られたデータ個数等を勘案した上で,地盤パラメータに対して統計処理をすることが要求される.提案する方法は,平均値あるいは近似値に対して変動係数に応じた補正を施すだけの単純なものであるが,JGS4001と整合したかたちで,試験法に起因したばらつきやデータ解釈の信頼性が特性値に反映される.