抄録
盛土構造物の耐震設計法においては,地震時におけるすべり破壊の有無の判定あるいは地震後における残留変形量の評価に主眼をおいたものとなっており,斜面の崩壊範囲については検討の対象となっていない.一方で,自然斜面は耐震設計の対象ではないが,各都道府県の崖条例によって崩壊の危険による建築の禁止範囲が存在する.そこで本研究では,2001年芸予地震により崩壊した宅地を対象として,法肩から天端におけるすべり面の位置までの水平距離に着目した検討を行った.そして解析結果と崖条例による規定を比較検討することによって,現在の日本国内の崖条例で用いられている崩壊範囲の評価法の問題点を明らかにし,その問題点を踏まえた新たな提案を行った.