2009 年 65 巻 4 号 p. 1062-1080
山岳トンネルは一般に地震に強い構造物といわれているが,地震の規模や震源からの距離によってはひび割れや圧ざなどの被害を生じることがある.筆者らは,山岳トンネルの地震被害を軽減することを目的とし,山岳トンネルの地質不良区間での地震被害に着目し,地震被害の低減に効果があるとされるインバート,繊維補強コンクリートの他に,発泡スチロール(EPS)を用いた緩衝材による対策工を提案し,これらの適用性について,模型実験や数値解析により研究を行った.その結果,インバートにより変形や盤膨れを抑制できること,繊維補強コンクリートによりじん性が向上しひび割れが分散することにより剥落を防止できること,緩衝材により変形を低減しひび割れを抑制できることがわかった.