土木学会論文集C
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和文論文
干渉SAR解析による新潟県中越沖地震に伴う山岳トンネル被害メカニズムの解明
辻 健山本 勝也山田 泰広松岡 俊文朝倉 俊弘
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2009 年 65 巻 4 号 p. 989-997

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抄録

 新潟県中越沖地震では,震央に近い柏崎平野部のトンネルでは被害が少なかったにも関わらず,震央から約30km離れた柿崎地域において山岳トンネルの被害が集中した.本研究では干渉SAR解析を行って柿崎地域の地表変動分布を推定し,トンネル被害のメカニズムの解明を試みた.解析結果からトンネル被害の集中した柿崎地域の栃窪背斜において隆起運動が卓越していることが明らかとなった.栃窪背斜が震源断層の南西端に位置すること,破壊の伝播方向に位置していたことが,局所的に震動が増幅した原因に考えられる.また隆起運動によって,褶曲内部の岩相境界において層間滑りが発生した可能性も考えられる.つまり栃窪背斜における震動の増幅や層間滑りが,トンネル被害を引き起こしたと解釈することができた.

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© 2009 社団法人 土木学会
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