2009 年 65 巻 4 号 p. 998-1017
関西国際空港は大阪湾南東部の泉州沖に,世界初の本格的な海上空港として建設された.建設予定地は水深が大きく,海底下には軟弱な沖積粘土層が20m以上堆積し,その下には数百mにわたって洪積粘土層が堆積している.したがって当初から沖積粘土層に対する地盤改良の実施や,洪積粘土層の圧密沈下が生じる深度方向の範囲やその大きさを見通すことが重要な課題であった.そのため事前に大深度のボーリング調査を行うなど,地盤工学的問題への対応に取り組んできた.本文は,関西国際空港の建設にかかる事前の調査や,事前予測に対する沈下の実態を記しつつ,沈下予測手法の変遷および現場における地盤挙動への対応について述べるものである.