抄録
水銀圧入試験の計測システムに対応した熱力学状態方程式に基づき,水銀圧入試験より得られる結果と水分特性曲線の等価性を示すとともに,この熱力学状態方程式より導出される間隙径分布モデルを利用して間隙構造との物理的相関が明確な水分特性曲線モデルを構築した.この水分特性曲線モデルは二つのパラメータによりその形式が定まり,van GenuchtenならびにFredlund and Xingモデルにより表現される粘性土の水分特性曲線と良好な相関を示す.提案モデルの有効性は,各種の粘性土に対する水銀圧入試験の結果ならびにUNSODAデータベースで開示された188種の水分特性曲線に基づいて確認した.本研究により粘性土に対する水分特性曲線を水銀圧入試験に基づいて推定する一連のスキームが整備された.