抄録
現在,舞鶴若狭自動車道の築造が行われている福井県若狭地区は,粘性土と腐植土から構成される地層が厚く堆積する超軟弱地盤帯である.本施工に先立ち実施した試験盛土では,大規模な沈下が発生すると同時に,周辺地盤に広範囲にわたって多大な影響を及ぼした.さらに,周辺地盤の変形が盛土断面片側にのみ集中する特殊な傾向も見られた.本論文では,このような試験盛土の変形挙動要因を検討するため,事後ボーリング調査および二次元の土-水連成FEM解析を実施した.この結果,押え盛土下の粘性土層が大変形を引き起こすと同時に,地盤深部の腐植土層が側方流動を起こしていることが推測された.また,この粘性土層および腐植土層の圧密を促進させることで,周辺地盤の変形を抑制する効果が期待できることがわかった.