2010 年 66 巻 4 号 p. 757-775
転圧・盛立てによって土構造物を築造するという文明の原点たるべき伝統的技術に加えて,締固め土を構造部材として利用すべく現代的な技術開発が急進展したのが約50年前である.金属材料・高分子材料・化学材料を土中に分散挟在させることによって土を複合材料化し,それをもって土の致命的弱点である脆弱な引張強度を補完強化することが,基本的な開発目標であった.このような技術開発の流れのなかで,締め固められた土の力学特性ならびに締固め土を用いた補強土の強度発現機構を解明すべく,土構造物の建設現場における計測をとおして筆者らが積み上げてきた研究を,新たな論旨をもって整理しまとめたのが本稿である.締固め土の強度・締固め土の変形・補強材による補強効果・実物大現場実験の順に実験と構成モデルに重点をおいて記述している.