2018 年 74 巻 2 号 p. I_82-I_89
本研究では京阪本線連続立体交差事業をケース・スタディとし,国土地理院が発行している汎用的な空間データを用いて三次元都市モデルの作成手法を構築し,モデルを用いた景観分析を2つのアプローチで行い,両者の結果を比較検証することを目的とした.作成された三次元都市モデルは空間分析に適したモデルに変換され,まずはGIS上での可視・不可視分析を行うことで,高架橋上の列車からの建築物に対する被可視頻度を明らかにした.次に視線追跡装置を用いた実験により,被験者の実際の注視傾向を分析し,両者の比較検証と考察を実施した.結果,視線追跡装置による注視傾向分析によると,水平線付近に位置してスカイラインを遮る建築物がとくに注視され,GIS上で計算された被可視頻度の値とは差異があることを確認することができた.