抄録
本研究は,グラウンドアンカー工(以下,アンカーと称す)の経時的劣化に関して,目視点検結果およびリフトオフ試験結果に基づき,確率過程としてマルコフ過程およびワイブルハザード関数を用いて性能低下過程を表現する手法を提案するものである.具体的には,まず既存の目視点検結果およびリフトオフ試験結果に基づきアンカーの健全度を6つのランクに区分し,閾値を設けてアンカーの状態を健全・損傷の二値に分類する.そして,マルコフ過程およびワイブルハザード関数を用いてアンカーの生存確率を求め,将来状態を予測する.さらに,ワイブルハザードモデルを用いた性能低下モデルと,既往のマルコフ過程を用いた性能低下モデルによるシミュレーション結果を比較し,モデルの違いによる性能低下過程の相違について検討を加える.