土木学会論文集F4(建設マネジメント)
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特集号(論文)
  • 辰巳 大介, 小川 雅史, 川上 司
    2022 年 78 巻 2 号 p. I_1-I_8
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/01/26
    ジャーナル 認証あり

     少子高齢化による将来的な労働力不足に備え,建設工事の生産性向上は喫緊の課題である.港湾分野における生産性向上の取り組みとして,浚渫工へマルチビーム測深の導入が図られてきた.しかし,港湾工事の工種の1つである基礎捨石工の出来形計測については,未だマルチビーム測深を適用することができておらず,潜水士による目視・手作業が一般的である.本研究は,基礎捨石工の出来形計測にマルチビーム測深を適用し,現地実証試験によって精度検証を行った.特に,現地に設置した標定点による高さ補正により,計測精度が向上することを確かめた.また,マルチビーム測深と従来の水中水準測量の計測結果の差異について,音線追跡シミュレーションを用いて分析を行い,マルチビーム測深の計測結果を補正する手法を提案した.

  • 狩野 新, 鈴木 弘司
    2022 年 78 巻 2 号 p. I_9-I_22
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/01/26
    ジャーナル 認証あり

     本研究では愛知県の自治体を対象として,膨大な地域防災計画の中から地震災害時の二次災害や道路交通・避難対策に着目し,地域や災害特性が類似している自治体をグルーピングしたうえで記載内容の特徴や問題点を視覚化する定量的な比較分析を行った.さらに1自治体の緊急輸送対策に着目した交通シミュレーションを行うことで災害時計画の実効性を確認した.分析の結果,自治体の地域特性に応じて計画の内容が異なることやヒアリング調査を踏まえて,充分な検討がなく記載されている対策が存在することが明らかになった.また,シミュレーションの結果より,主要交差点での渋滞で輸送が行えなくなる可能性などの課題を明らかにし,輸送状況を向上させる改善方策として交差点運用の変更を提案し,その効果を検証した.

  • 二宮 仁志, 渡邊 法美
    2022 年 78 巻 2 号 p. I_23-I_34
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/01/26
    ジャーナル 認証あり

     建設業では,高齢技術者の大量退職,若年層の入職率の低迷や離職率の高さなど技術者不足が深刻化している.国をはじめ,建設業界では,働き方改革,DXの推進など生産性向上に取り組んでいる.一方,激甚災害の増加やインフラの多量更新など業務量増大,感染症長期化など労働環境が急変する中,建設技術者のワークモチベーションは,必ずしも向上していないとの懸念もあり,更なる生産性向上には,その維持・向上は極めて重要な課題といえる.本研究は,混合研究法の下,有機的統合理論を用いて,建設技術者のワークモチベーションの評価手法について提案するとともに,事例研究を通じて,ICT施工など実務経験が自律性の程度に及ぼす影響について分析することを目的とする.その知見を基に,モチベーション・マネジメントへの適用について考察を試みる.

  • 小浪 尊宏, 井川 友裕, 森岡 信人, 小宮 朋弓, 木下 誠也
    2022 年 78 巻 2 号 p. I_35-I_53
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/01/26
    ジャーナル 認証あり

     2021年11月時点で,日本も含む150カ国以上が2050年等の年限付きのカーボンニュートラル目標を宣言している.この目標に資するためには,建設分野においても,建設現場のみならず,サプライチェーンも含む低炭素化に向けた検討が必要である.本稿は,建設分野の3分の1を占める公共調達を通じた低炭素化の取り組みに関して,海外政府の施策を我が国の施策と比較し,我が国が講ずるべき施策の検討を行うことを目的とする.このため,本稿では,まず,公共事業に関係する低炭素公共調達に関連する取り組みに関して,国際機関の調査及び既往文献から,関連する193の事例を抽出した.次に,建設分野に関連する先導的な取組を有する20カ国のうち,人口規模及び建設投資額の観点から我が国建設分野への適用可能性が見込まれる米国,ドイツ,オランダ,英国,韓国及びスペインの6カ国を「先導国」と位置づけ,これら政府の低炭素公共調達に関連する取り組みについて,建設分野に係るものを中心に調査を行った.最後に,これらの結果に基づき,我が国の関連施策との比較を行い,我が国が先導国と同様な取り組みを実現するために必要な施策について明らかにした.

  • 髙橋 慎之介, 金子 雄一郎, 楠本 俊二郎, 鈴木 達朗
    2022 年 78 巻 2 号 p. I_55-I_62
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/01/26
    ジャーナル 認証あり

     近年道路の維持管理分野において,包括的民間委託を導入する動きが見られる.包括委託では契約内容や要求水準等に従い,民間事業者によって適正かつ確実なサービスの提供を確保されているかを確認するためのモニタリングが重要である.本研究では2021年度より道路等包括管理事業の本格運用を開始した東京都府中市を対象に,管理データを用いて道路巡回業務の実態を分析するとともに,パフォーマンス指標を設定して試算した.その結果,清掃,植栽管理,補修・修繕の3業務で巡回中発見及び要望相談の件数が多いこと,路面の異常等の発見率(指標①)は,業務ごとで値の水準や月変動が異なるものの,時系列では上昇傾向がみられること,要望受付から措置実施までの所要日数(指標②)は,清掃,植栽管理が比較的短い一方,補修・修繕は一定日数を要していることなどがわかった.

  • 中洲 啓太, 光谷 友樹, 森本 恵美, 吉井 拓也, 井上 圭介
    2022 年 78 巻 2 号 p. I_63-I_74
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/01/26
    ジャーナル 認証あり

     我が国では,建設市場の国際化等を背景に,公共工事の入札で,透明性,公正性,競争性の確保を求める声が強まり,現在,国土交通省直轄工事のほとんどで一般競争入札・総合評価落札方式を適用している.一方で,2014(平成26)年6月の「公共工事の品質確保の促進に関する法律」改正を契機に,技術提案・交渉方式,事業促進PPP,災害復旧における随意契約・指名競争入札,フレームワーク方式等,多様な入札契約方式の適用が進みつつある.本研究は,国内外の公共調達制度の変遷を踏まえ,競争性の追求や,受注者へのリスクの移転に対する反省から,近年,受発注者のパートナーシップを重視した入札契約方式が国内外で活用される背景を分析し,国土交通省直轄工事における入札契約方式の選択と改善の新たな考え方を提案するものである.

  • 森本 恵美, 荒井 弘毅
    2022 年 78 巻 2 号 p. I_75-I_82
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/01/26
    ジャーナル 認証あり

     本稿は,建設コンサルタント業務等における1者入札の現状と影響について実態を把握することを目的とする.本稿は,関東地方整備局の2008年度から2018年度までの建設コンサルタント業務等の入札データに基づいた分析である.1者入札は建設コンサルタント業務等において40%前後を占め,その影響の分析が必要となっている.1者入札では落札率が高くなっている関係が見られた.これは2回目入札の割合から考えると1者入札こそが落札率を高くしていると考えられる.すなわち,予定価格が精密に作られているから結果的に入札者が1者だけとなったという関係ではなかった.案件の技術の側面をより適切に評価していくこと及び案件規模をある程度大きくしていくことが,1者入札・高落札率を避けるための一つの方策であると考えられる.

  • 伊東 丈太朗, 鈴木 貴大, 堀田 昌英
    2022 年 78 巻 2 号 p. I_83-I_94
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/01/26
    ジャーナル 認証あり

     高度経済成長期に整備された日本の一般道路の多くは老朽化が懸念されており,特に橋梁の維持管理は喫緊の課題である.インフラ施設の維持管理分野では官民連携手法が導入されつつあるが,利用料収入を得ない一般道路の維持管理はコンセッション方式の適用外となっている.

     本研究では,一般道路の橋梁を対象としたPPP事業を想定し,運営事業者の裁量で修繕や更新を行い,政府は橋梁の状態に応じて支払いを行うと仮定しモデル化し,長野県長野市が管理する橋梁のデータを用いて事例分析を行った.その結果,支払い方式の設定によって,運営事業者が自発的に予防保全的な維持管理をするように促すことが可能であることを示した.また,劣化予測を正確にできた場合のパフォーマンスと,劣化予測の不正確さに対するロバスト性のトレードオフを示した.

  • 竹末 直樹, 玉越 隆史, 小林 潔司
    2022 年 78 巻 2 号 p. I_95-I_112
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/01/26
    ジャーナル 認証あり

     アセットマネジメントの国際規格(ISO55000シリーズ)では,アセットマネジメントを「アセットからの価値を実現する組織の調整された活動」と定義しており,将来の事業費ベースの維持更新費用の縮減にとどまらず,インフラの役割や性能を反映したインフラの資産価値を可能な限り増大させる対策を講じることを求めている.本研究では資産価値という用語が「アセットからの価値」と「アセットの価値」という異なる意味を包括する複合的概念であることを指摘し,ロジックモデルを用いて資産価値の増大を目指すアセットマネジメントのメカニズムを体系的にモデル化する.あわせて,内外のアセットマネジメント事例における問題点を指摘し,マネジメントにおける資産価値評価の実践上の課題について考察する.

  • 宮島 正悟, 小野 憲司, 佐野 透
    2022 年 78 巻 2 号 p. I_113-I_129
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/01/26
    ジャーナル 認証あり

     港湾のインフラストラクチャ(港湾インフラ)のライフサイクルのプロセスにおいて生成される情報やデータ類(港湾インフラ情報等)を的確に共有・利活用し,建設・維持管理コストの削減や利用の高度化につなげていくことが重要な技術課題の一つとなっている.本研究では,アセットマネジメント促進の視点から,港湾インフラに係る行政事務や請負業務の構造化,ワークフロー分析を用いた入出力情報等の抽出,情報等の共有・利活用先の同定等を行い,ライフサイクルにわたる港湾インフラ情報等の流れをOD表を活用して明らかにするとともに,情報等の流動の電子化のための枠組みの提案とその効果の定量評価を行った.その結果,事務/業務の処理に際して利活用が不可欠である情報等については能動的(Push型)情報連携の機能を整備することの重要性を明らかにした.また,サイバーポートのデータ連携環境下において,デジタルデータの利活用範囲が大幅に拡大する可能性を示した.

  • 奥田 勇, 鈴木 貴大, 堀田 昌英
    2022 年 78 巻 2 号 p. I_131-I_149
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/01/26
    ジャーナル 認証あり

     わが国では「空き家問題」が深刻になりつつある.その解決策として,前面道路や隣接地を巻き込んだ整備を行うことにより,接道状況や区画形状の改善を図る「小規模連鎖型区画再編事業」が注目されている.

     本研究では,小規模連鎖型区画再編事業のモデル化を行い,建て替え対象となる宅地とその順番を決定する事業団体(ランドバンク)の最適戦略と,補助金や税制に関する施策を決定する自治体の最適な政策を求めた.分析の結果,個別具体的なケースにおいて求められたランドバンクの最適な戦略と自治体が行うべき最適な政策は,必ずしもそれぞれの利得の総和を最大にする全体最適なものとは一致しないことを示し,ランドバンクの最適な戦略が実現可能になるための条件を明らかにした.

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