抄録
標準設計は道路橋の設計において戦後から近年にわたり中心的役割を担ってきた.したがって標準設計の変遷を調査・考究することは,従来型設計方法論の見直し,そして今後の設計方法論の方向を考察する上で意義あるものと考えられる.本研究では道路橋の標準設計の変遷を,道路橋の設計及び標準設計の作成に関わる体制,標準設計の作成者の意図,標準設計の利用実態という3点から明らかにした.結果として,昭和40年頃から出現した「直接的・原則的利用」という標準設計の作成側の意図と当時の実務上の実態とが必ずしも一致しなかったこと,またこの意図が「責任主体」と「設計主体」の違いに強く関係したことを指摘した.さらにこれらの成果から今後の設計方法論のあり方に対して考察を加えている.