土木学会論文集D
Online ISSN : 1880-6058
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62 巻 , 1 号
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和文論文
  • ~コンクリートT桁橋を事例として~
    斉藤 大輔, 一丸 義和, 齋藤 潮
    2006 年 62 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/01/20
    ジャーナル フリー
     標準設計は道路橋の設計において戦後から近年にわたり中心的役割を担ってきた.したがって標準設計の変遷を調査・考究することは,従来型設計方法論の見直し,そして今後の設計方法論の方向を考察する上で意義あるものと考えられる.本研究では道路橋の標準設計の変遷を,道路橋の設計及び標準設計の作成に関わる体制,標準設計の作成者の意図,標準設計の利用実態という3点から明らかにした.結果として,昭和40年頃から出現した「直接的・原則的利用」という標準設計の作成側の意図と当時の実務上の実態とが必ずしも一致しなかったこと,またこの意図が「責任主体」と「設計主体」の違いに強く関係したことを指摘した.さらにこれらの成果から今後の設計方法論のあり方に対して考察を加えている.
  • 河野 達仁, 森杉 壽芳, 樋口 敦司
    2006 年 62 巻 1 号 p. 11-18
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/01/20
    ジャーナル フリー
     旅行費用法で用いるべき需要関数は,評価対象施設の入場料金に関する需要関数である.ただし,入場料金に関する需要関数は市場で観察できないため,旅行費用に関する需要関数で代用する.しかし,需要関数において対象施設への旅行費用が入場料金と等価となるのは,対象施設に代替・補完財が存在しない場合に限られる.本研究では,代替・補完財が存在する場合に,入場料金に関する需要関数を得るために必要な市場データの取得可能性を検討する.検討の結果,一つの不完全代替財あるいは複数の完全代替財の存在の場合のみ取得可能であり,それ以外の場合に旅行費用法を適用するには市場では得られない追加的情報が必要であることを示す.なお,代替・補完財として代替施設と宅地の2ケースについて検討する.
  • ―大義ある公共事業による信頼の醸成―
    藤井 聡
    2006 年 62 巻 1 号 p. 19-31
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/01/20
    ジャーナル フリー
     国民が政府を一切信頼していないのなら,国民は,政府の提案する全ての公共事業に疑いを持ち,政府を支援するための活動の一切を取りやめる.かくして,国民の信頼の不在は一切の政府機能と公共事業の停止をもたらす.この問題意識のもと,本研究は国民の信頼の問題を取り上げ,政府に対する国民の信頼の向上をもたらす方途を,信頼形成の心理プロセスモデルを提案しつつ,また,国土交通行政に関わる事例を中心的に想定しつつ検討した.その結果,「透明性の確保」と「痛みを伴う大義ある公共事業の推進」という2つの方途が国民信頼の向上に寄与することを実証データを交えつつ論証した.ただし,前者の方途には様々な問題,すなわち,実施コストの増大と信頼低下の「逆効果」があること,ならびに,それ故に後者の方法を進めることこそが必要とされていることを指摘した.
  • 河野 達仁, 能登谷 浩路
    2006 年 62 巻 1 号 p. 32-42
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/01/20
    ジャーナル フリー
     費用便益分析は無駄な公共事業を行うといった政府の失敗を避けるために有効な手段と考えられている.しかし,費用便益分析の義務化等で,住民が費用便益分析に基づく公共投資政策を期待することになると動学的不整合問題が生じる可能性がある.すなわち,費用便益分析では住民の行動(顕示選好)に基づき効用変化を計測するため,費用便益分析に基づいて最適と判断される政策は住民の行動前後で異なる.そのため,住民が費用便益分析を戦略的に利用すると,いわゆる動学的不整合問題が起こる.本研究では交通政策を例にとり,費用便益分析の義務化がどのようにおよびどのような場合に最善の社会的厚生の達成を妨げるかを示す.
  • ―同調圧力と手続き的公正が肯定的に作用する場合―
    青木 俊明, 星 光平, 佐藤 崇
    2006 年 62 巻 1 号 p. 43-53
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/01/20
    ジャーナル フリー
     本研究では集団状況における協力意向の形成機構を検討した.私的利益,手続き的公正,同調圧力を操作した心理実験の結果,以下の知見および示唆を得た.1)集団状況では,私的利益感,同調圧力感が重要な態度形成要因であること.2)同調圧力を作用させた実験参加者の約1割が公的受容を伴う同調で態度を形成していた.3)私的受容による同調と合わせると,4割強の実験参加者が同調圧力の影響を受けて態度を形成していた.4)私的受容と公的受容の分岐要因は,同調圧力感,私的利益感,手続き的公正感と推察される.5)同調を示す場合,私的利益感と手続き的公正感が低く,同調圧力感が高い場合には公的受容が促され,私的利益感と手続き的公正感が高く,同調圧力感がさほど高くない場合には私的受容が促されることが示唆された.
  • 河野 辰男, 塚田 幸広
    2006 年 62 巻 1 号 p. 54-63
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/01/31
    ジャーナル フリー
     わが国の流通は消費者ニーズや企業間競争等から多段階・小規模・多頻度といった特徴を有し、これに多業種の商慣行が絡み合って複雑化しているが故に物流面で非効率を招いている.その結果,効率性を無視した物流サービスが提供されて道路交通への負荷が大きくなり,渋滞や環境問題を引き起こしている.
     このようなことから本研究では,物流面で非効率を招いている商慣行を抽出し,それらが物流や貨物車交通に与えている影響を把握した上で,効率化に資する改善策を明らかにすることを目的に,文献調査や事業者へのヒアリング調査を行って現状を把握するとともに,既存の統計等から,商慣行改善による貨物車交通への負荷軽減の効果,効果的な商慣行改善策とその実現に向けた課題を明らかにしたものである.
  • 竹上 直也, 塚口 博司
    2006 年 62 巻 1 号 p. 64-73
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/01/31
    ジャーナル フリー
     バリアが少なくゆとりのある歩行者空間は今後の社会において必要不可欠な社会基盤である.歩行者空間の整備に対する関心が高まっている今日,歩行者空間を安全かつ快適に整備するために,歩行者の経路選択行動に関する特性把握が一層重要となっている.従来,歩行者の経路選択行動に関する定量分析の多くは地区ごとに個別に行われており,多くの地区に適用できる一般性の高いモデル開発には至っていない.そこで本研究では,様々な形態を持つ京阪神都市圏20地区を対象とし,これらの地区に適用することのできる,汎用性の高い歩行者の経路選択行動モデルを構築した.
  • 古川 雄一, 円山 琢也, 原田 昇
    2006 年 62 巻 1 号 p. 74-83
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/01/31
    ジャーナル フリー
     ロードプライシング実施の主たる目的に大気環境の改善があるが,大気環境への影響力の大きい貨物車についてプライシング実施時の分析を行った既存研究は少ない.そこで本研究では,プライシング実施によって生じうる貨物輸送の固有の変化を類型化し,その変化の一つである貨物車の積替え行動の変化と,それに伴う貨物車ODの変化を詳しく分析する.具体的には,目的地まで貨物を直送で運ぶか,もしくは途中の中継施設で積替えるかを離散選択モデルで分析するための方法論を構築する.モデル推定に必要なデータを,都市圏での貨物輸送行動を記述したものとして一般的な物資流動調査から導出する手法も同時に提案する.最後に,東京都心部で計画されているコードンプライシングを対象にモデルを適用する.
  • 谷口 綾子, 藤井 聡
    2006 年 62 巻 1 号 p. 87-95
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/02/28
    ジャーナル フリー
     本研究では,クルマをかしこく使うための交通施策モビリティ・マネジメント(MM)を,コミュニティバスの利用促進の一環として実施した.このプロジェクトはバス運行地区の居住世帯を対象とする一度限りのアンケート形式のコミュニケーション(ワンショット TFP)と,月刊ニューズレターの配布とから構成され,本研究では,これらの効果の定量的な検証を行った.その結果,MM によってバス利用頻度が倍増した.さらに,因果構造分析より,バス利用は口コミによって広まっており,その口コミ連鎖を,ニューズレターとワンショット TFP が加速化しているという点も明らかにされた.これらはいずれも,MM が公共交通利用促進に有効である可能性を示唆している.
  • 井料 隆雅, 朝倉 康夫
    2006 年 62 巻 1 号 p. 96-112
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/02/28
    ジャーナル フリー
     出発時刻選択問題における利用者追加時の限界費用問題の性質を明らかにする.道路渋滞においては,利用者が混雑に応じて出発時刻を変動させることがない場合,渋滞の開始時刻直後に追加車両が加わる場合に限界費用が最も大きくなることが理論的に知られている.本研究では,同様の限界費用分析を利用者の出発時刻選択行動を考慮したうえで行う.到着地での時刻制約に特別な制約をおかない出発時刻選択問題を用いて,その下での限界費用の性質を理論的に分析した.その結果,利用者の時刻選択行動の特徴を示す「チェーン」の概念を用いることによって限界費用を計算できること,また,利用者が遅刻を望むか早着を望むかで車両を加える時刻と限界費用の関係が大きく変わりうることがわかった.
  • 李 燕
    2006 年 62 巻 1 号 p. 121-130
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/03/30
    ジャーナル フリー
     本研究は,近年急速に整備されつつある地図データと地域社会経済データベースの交通分析における応用,および交通分析・計画のビジュアル化へ向けた第一歩として,地図画像およびデジタル地図データを用いた地理座標形式の詳細な街路ネットワークデータの作成方法を提案することを目的とする.具体的には,現在使用可能なデータソースについてレビューし,基本的な手法として,地図画像を用いた効率的なネットワークデータの作成方法を示す.さらに実用的な手法として,国土地理院が刊行する数値地図2500の道路網中心線データおよび都市計画基本図の画像を用いたネットワークデータの作成方法を開発する.作成されたデータは GIS 上でビジュアルに扱うことができるので,GIS をプラットフォームとした交通分析への展開に貢献できる.
  • 屋井 鉄雄, 福田 大輔, 根橋 和也
    2006 年 62 巻 1 号 p. 131-144
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/03/30
    ジャーナル フリー
     公共事業計画の基礎となる交通需要予測に対して厳しい批判が寄せられる中,将来予測の不確実性を考慮して幅をもたせた予測を行うことが主張されている.しかし,予測結果をどのような形で市民に提示し,社会的受容を高めることができるかに関しての知見は少ない.本研究では,計画策定時における幅をもたせた需要予測結果の提示方法や課題を明らかにするため,意識調査を行って市民の公共事業や需要予測に対する意向の把握を試みた.次に,交通需要予測不信を巡る市民意識の構造化を行い,意識調査に基づく実証的検討を通じて多面的に考察した.最後に,調査で設けたシナリオ実験の分析を行って,幅をもたせた予測やその提示方法が市民の受容意識に及ぼす影響に関して考察した.
  • 孟 渤, 安藤 朝夫
    2006 年 62 巻 1 号 p. 145-156
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/03/30
    ジャーナル フリー
     SCGEモデルは,限られた地域データしか利用できない国においても,詳細な地域分析を可能にする有望な枠組みを与える.我々は財輸送を派生需要と見なすことで,FOB・CIF価格を区別し得るSCGEモデルを提案し,中国の省レベル地域に適用して来た.本稿ではモデルの概略を説明した後,中国における唯一のsurveyに基づく地域間産業連関表であるIchimura=Wangの1987年表と本モデルの基準均衡解を比較することで,モデルの包括的な検証を行う.また基準均衡解に含まれる生産量・価格・効用水準などを用いて,中国の地域経済構造・空間価格体系などの要約が可能であるが,ここでは1997年の基準均衡解を加えることで,地域間格差の時間的変化をも検討する.
  • 内田 賢悦, 加賀屋 誠一, 佐々木 恵一, 東本 靖史
    2006 年 62 巻 1 号 p. 157-166
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/03/30
    ジャーナル フリー
     本研究では,道路利用者の経路選択行動を内生化した道路舗装の LCC 評価手法を提案した.すなわち,1本または数本の道路区間を対象に行われてきた道路舗装の LCC 評価手法を踏まえ,ネットワークレベルでの評価を念頭に,手法の拡張を行った.具体的には,上位問題として LCC の最小化,下位問題として道路利用者の経路選択を表す利用者均衡配分,2つの段階から構成される bi-level 問題として定式化している.また,テストネットワークを対象とした,計算例を示した.その結果,経路選択行動を表現することにより,従来の手法では表現されない道路舗装の修繕作業に伴う交通混雑が LCC に与える影響を示すことができた.
  • 宮田 譲
    2006 年 62 巻 1 号 p. 167-186
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/03/30
    ジャーナル フリー
     筆者らは帯広都市圏を対象として,廃棄物の再(生)利用を考慮した,静学的応用一般均衡(CGE)モデルを開発してきている.しかしながら,都市圏の持続的発展性や環境共生を考えるとき,静学モデルでは不十分であり,モデルの動学化が必要とされる.この観点から本研究では筆者らの既存モデルについて,割引された効用値累積和を最大にする形で動学化を行っている.このモデルを用いて廃棄物の再(生)利用率増加が,帯広都市圏にどのような影響を与えるのかをシミュレーション分析する.シミュレーションにより廃棄物の再(生)利用率を1.2倍引き上げるために必要な再(生)利用財価格の下落幅や,家計による消費と貯蓄の選択パターンなどが動学一般均衡解として得られている.
  • 阪神淡路大震災の教訓と現状の課題
    中川 大, 小林 寛
    2006 年 62 巻 1 号 p. 187-206
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/03/30
    ジャーナル フリー
     阪神淡路大震災後の大規模な渋滞は,大都市の震災対応策に重要な教訓をもたらした.しかしながら,それから10年以上が経過しているにもかわらず,震災緊急時の交通対応の視点は基本的には変わっておらず,その教訓が十分に活かされる状況には至っていない.その原因の一つには,実際に現場でどのような現象が生じていたかが必ずしも明らかになっているとは言えないという点がある.そこで本研究では,最も重要な期間である震災発生後1~2日間における現象をあらためて明らかにするため,当時の状況に関する研究・文献等を調査し,被災地に流入できる全断面の震災直後の状況を把握する.また,これらの分析から,大都市における震災時の交通対応策に対して得られる教訓を整理し,現在の対策の課題を明らかにする.
和文報告
  • 植木 基晴, 上浦 正樹, 竹澤 晋一
    2006 年 62 巻 1 号 p. 113-120
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/03/30
    ジャーナル フリー
     ウェーブレット解析は非定常波形の時刻暦データに対して平均的な値ではなく時間ごとの周波数特性を得られることから,近年,数学,物理学,医学などの分野でよく用いられている.鉄道保線分野においても軌道狂い波形と車両動揺の地点ごとの波長や振幅を推定するために空間周波数解析としてウェーブレット解析の適用が望まれる.本研究は,その基礎的な段階として,通り狂い波形と車両の左右動揺における加速度波形に対してウェーブレット解析により卓越した振幅とその発生地点および波長の関係を求めた.この解析結果と現場との比較や波形相互の対比からウェーブレット解析が有効な手法であることを明らかにした.
国際会議報告
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