2006 年 62 巻 2 号 p. 239-249
本研究では,ロードプライシングの受容意識の高揚が期待できるような「広報のあり方」を考えるために,「フレーミング効果」に関わる心理学的な理論的検討を行い,そこで演繹された仮説を検証するための心理実験を行った.ロードプライシングには,「需要削減機能」と「税収機能」の二つの機能が備わっている事を前提とした上で,課金区域内部の居住者に対しては需要削減機能を強調しつつ説明する方が,逆に,課金区域外部の居住者に対しては税収機能を強調しつつ説明する方が,それぞれロードプライシングに対する「公正感」が高揚し,それによって受容意識が高揚するであろう,という理論的仮説を措定した.そして,それを検証するための心理実験を行ったところ,仮説を支持する結果が得られた.