抄録
本研究は,京都市都心部の京町家集積による近隣外部効果やその影響範囲の把握を目的に,通常回帰モデルと地理的加重回帰モデルを併用して,ヘドニック法により定量的に計測した.また,得られた計測結果については,GISを利用して空間的な広がりや分布の特徴を把握した.その結果,京町家集積による近隣外部効果の存在が土地の資産価値を高める傾向にあり,近隣外部効果の特に高い町丁目は,東西や南北にはしる通りに沿って連担,あるいは面を形成しているという空間的特徴を明らかにした.また,近隣外部効果の影響範囲は,京町家が隣接する町丁目やその町丁目にさらに隣接する町丁目程度であるのに対し,中高層建築物は学区レベルに相当し,京町家よりも影響範囲が広域であることを明らかにした.