本研究ではPFI(Private Financial Initiative)事業におけるモラルハザードを克服するための保証金・モニタリングについて考察する.その際,モラルハザードのタイプとして,技術的・財務的モラルハザードが存在することを指摘する.事業権契約に保証金を導入することにより,技術的・財務的モラルハザードを抑制できるが,保証金の機会費用が発生する.一方,金融機関によるモニタリングにより,財務的モラルハザードを抑制することが可能である.しかし,モニタリングのみでは技術的モラルハザードを抑制できない.PFI事業によるモラルハザードを効率的に抑制するためには,モニタリングにより財務的モラルハザードを抑制しつつ,技術的モラルハザードを抑制するための保証金額を低減させるような方策が望ましいことを示す.