2008 年 64 巻 1 号 p. 111-121
近年,人々の過度に自動車に依存した交通行動を,自発的に変化させることを目的としたモビリティ・マネジメント(MM)施策が注目され,その適用事例が増加している.それらの多くでは,自動車利用の抑制や,路線バスやコミュニティバスを中心に公共交通の利用促進の効果があることが報告されている.
筆者らは,複数の鉄道路線を対象に,その利用促進を目的としてMMに取組んできた.それらの取組みにおいて,アンケート調査から測定される意識・交通行動においては,一定の鉄道利用促進効果が確認されたが,実際の利用者数においては集計的効果が得られるまでにはいたらなかった.本報告は,鉄道利用促進のためのMMの事例について報告するとともに,その中から得られた課題をとりまとめるものである.