2008 年 64 巻 1 号 p. 1-10
本論文は,環境負荷低減を目指したコンパクトシティを指向し,郊外から都心部への移住をシナリオとして想定した場合,どのような居住形態(戸建または集合住宅)・家族形態(単身世帯,夫婦世帯,3世代居住等)が都心に移住すればエネルギー消費低減に寄与するかをシミュレーションした.具体的には民生部門では電力消費量に着目し,住宅種別や世帯人員等,ライフスタイル別の相違を把握し,コンパクトシティ政策時の予測を行った.運輸部門では現状推移・コンパクトシティ政策時の交通需要推計を行い,エネルギー消費量の算出を行った.この結果,コンパクトシティ政策により,運輸・民生両部門で,エネルギー消費量低減効果が確認できたことから,この両部門での総合評価を実施した点に本研究の特色がある.