抄録
本研究では,水のまちとして地域固有の景観を有してきた郡上八幡を対象に,地域コミュニティの維持要因及びローカルルールの役割について明らかにした.文献資料及び現地踏査により,水辺空間の成立過程と特徴を整理し,地域コミュニティに支持されてきた水辺の共同空間を抽出した.さらに,水辺利用及びローカルルールの実態に関するヒアリング調査に基づき,地域コミュニティの変化について事例分析を行った.研究の結果,地域コミュニティの維持要因として,水辺空間に対する「行動の規範」と地域コミュニティに対する「組織の枠組み」という2種類のローカルルールによって,地域コミュニティが環境の変化に応じるプロセスが必要であった.また,地域コミュニティの一員である個人により「行動の規範」が実践される必要があることが分かった.